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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
和田さんは現役引退後、野球解説者として活躍するほか、少年野球の指導も行っている。それには、恩返しの気持ちがあるのだと語ってくれた。
 
 

野球は難しいからこそおもしろい

 
僕は小さな頃からずっと野球に携わってきて、本当に多くの経験をさせてもらいました。だから、その恩返しとして、一般の方々に野球の魅力を伝えたり、選手の育成に尽力したりしたいと思ったんです。そうして少年野球の指導に携わるようになったところ、選手と指導者の目線の違いを実感しましたね。
 
僕は選手として、「こうやったら打てる」という感覚を持っています。でも、その感覚は体格や筋肉のつき方などでまったく変わってくるもの。だから、自分の感覚を選手に押し付けることだけはしないように気を付けています。まだまだ指導者としての経験が足りないので、日々勉強ですけどね。自分の中でベストな方法を見つけていければと思っています。
 
そうした難しさに、野球の魅力があるのではないでしょうか。正解に近いものはあるけど、正解は決してない。どうすれば打てるのか、考えれば考えるほどわからなくなったこともあります(笑)。野球は本当に難しくて、だからこそゴールに近付きたいと追い求めてしまう。僕は引退する最後の試合、最後のアウトの瞬間まで、「こう打ちたい」「こうすれば打てるんじゃないか」と考えていました。引退して自分でプレーすることはなくなりましたが、野球に関して勉強していくことに変わりはありません。新たな目線で、少しでもゴールに近付いていきたいですね。
 
<インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori>
 
 
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和田一浩(わだ かずひろ)
1972年生まれ 岐阜県出身
 
大学卒業後、社会人野球の神戸製鋼を経て、1996年にドラフト会議で埼玉西武ライオンズから4位指名を受け入団。2003年から4年連続で外野手部門にてベストナインを受賞するなどの活躍を見せる。2004年にはアテネオリンピックにも出場。2007年にFA権を行使し、中日ドラゴンズへ移籍した。2015年6月には対千葉ロッテマリーンズ戦にて2000安打を達成するも、同年に引退を発表。現在は野球解説者、指導者として活躍している。
 
 
 
(取材:2019年1月)