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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

築いてきた実績や経験を
社会貢献につなげる求心力

 
 
日をおかずに更新されるブログに真摯な思いや言葉が綴られているように、言葉の力を信じる石井氏の経験がまとめられているという本は、どんな内容なのか。興味をそそられたので、尋ねてみた。
 
 

『心の伸びしろ』は無限にある

 
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 本には、横浜ベイスターズ時代のことや、広島東洋カープに移籍してからの4年間のことなどが綴られています。私の経験からくる思いや考え方を読んでいただくことで、様々な職業に従事する方々にヒントを提供できればと思います。私は現役生活を通じて、たくさんのものを得たし、達成してきました。たとえば2000本安打であり、盗塁王であり、ゴールデングラブ賞など。それらの結果を生んだのは、勝利に対する欲、目標を達成したいという欲があったからです。しかし、振り返ってみると、そうした結果を残せたのは、たくさんの方々から支えられていたからこそで、自分一人の力で成し遂げられたものではなかったと思うのです。だから、自分に力を与えてくれた周囲の方々に感謝の気持ちを贈りたい。そして、自分の経験やプロ野球選手としてできることを通じて、もっともっと社会に貢献していきたいと考えるようになりました。
 それは、私自身のチームにおける立場が、時代を経るにつれて変わってきたからそう感じるようになったのかもしれません。現役時代は自分の身体を使って、プレーで思いを表現することができました。現在はそうではなく、表現をする選手たちを指導する立場ですからね。アスリートの仕事は、年齢を重ねるうちに、パフォーマンスが落ちてくる時が必ず訪れます。肉体が衰え、これまで駆使していた技術が使えなくなる時がくるのです。つまり、肉体あってこその“技術的な伸びしろ”にはどうしても限界があるんですよね。しかし、心は別です。“心の伸びしろ”は無限にある。だから、死ぬまで成長ができるんです。今回の本にはそんな思いを込めました。
 
 
 
アスリートとしての成長が難しくとも、人間としての成長はいつまでも続けられる。その熱いメッセージは当然、自分自身がさらに前進するための宣言でもあるのかもしれない。「常に周囲から支えられてきた」と感謝の気持ちを忘れない石井氏。今後、どのような歩みを続けていくのだろうか。
 
 

愛するチームと一緒に、目標や夢に向かう

 
 これまで、野球一筋で人生を歩んできました。これからもそうだと思います。野球があるからこそ、今の私がありますし、様々な活動を実現できているのは、野球のおかげ。そして何より、広島東洋カープというチームがあるからこそです。だから、これからもチームに対して、自分の力で還元できることは惜しみなく還元していきますし、チームを通じた社会貢献などにも力を尽くしていきたいです。
 広島へ移籍してきてからの4年間で強く感じたのですが、広島県の皆さんは地元に対する愛情が非常に深く、熱い心を持っています。だから、球団の取り組みに理解を示し快く応援してくれるんです。また、東京を始めとする関東地方には広島出身者の方も多く、カープファンが集う「東京カープ会」という会合が開かれているほどなんですよ。もちろん、私設応援団も各地にありますから、東京ドーム、神宮球場、横浜スタジアムなどの試合でも、レフトスタンドが真っ赤に染まることがあります。そうした熱心なファンの方々がいますから、本当に心強いです。
 全国にいるカープファンの皆さんに被災地支援だけでなく、様々な社会貢献活動への支援を呼びかけていけば、ファンの皆さんを通じて、ファンでない方々にも情報を広げていける。自分個人の自己満足のためではなく、同じ思いを持った方々が一つの目標や夢に向かって進んでいくのは、とても素晴らしいことだと思うんです。それは野球でも会社の仕事でも、どんな活動でも同じですよね。これからも広島東洋カープのために、そして社会のために、自分のできる限りのことをしていきます。
 
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(インタビュー・文 佐藤学 / 写真 Nori)
 
 
 
 

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