B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

グレートカンパニーへ舵を切った
小山流21世紀型コンサルティング

 
 
 
小山氏の語るグレートカンパニー論は、アメリカ的な企業社会のフォーマットと真逆のベクトルにある。アメリカナイズされてきた今までの企業原理は、いわばゼロサムゲーム。一人が10億儲けたら他の人が10億損しているという、「ゼロになるか、サム(Some) になるか」 のマネーゲームだ。いつしか日本でも当たり前のように崇拝されていたこの弱肉強食の原理に、小山氏は疑問を投げかける。
 
 
 

船井総研は次のフォーマットを見ている

 
100701_sp0014_d05.jpg
 「公益企業」 の反対は何だと考えますか? 私は 「公損企業」 じゃなくて 「公害企業」 だと思うのです。100%ゼロサムゲームのアメリカンフォーマットは、誰かが儲けたら誰かがそのぶん確実に損している。損している人たちにとって、儲けている人たちの存在は害以外の何ものでもないんです。誰かがコンサルに入って、その店が繁盛したために競合店が潰れたとします。競合店がサボってばかりなら潰れるのは当たり前ですが、そこそこ真面目にやっているのにこっちが伸びすぎたために潰れたとなると、自分の会社が公害企業になってしまう。それはいかがなものか、と思うわけです。
 
 船井総研は40年前から 「世のため人のために企業を支える」 と言ってきました。クライアントを繁盛店にするのはいいことだし、人のためでもある。だけど、その先で世のためになっていたかは分からない。今までの船井流は 「競合相手を叩いて、ケンカして勝ちなさい」 というやり方だったと言えなくもなかった。私は、そういうことはすべきではないのではないかと。
 今の時代に適うのは 「非競争」 だと、私は22年前から言っています。孔子の 『論語』 の中に、「独自貢献」 という考え方があるんです。私はこれを元に、「独自固有の長所」 という言葉を提唱しました。おそらく、経営コンサルティングの世界で最初にこれを言ったのは私のはずです。
 要するに 「競合先の強い部分と戦うよりも、自分の長所を伸ばしなさい」 ということです。クライアントを公害企業にさせない、敵を作らせないということです。
 
 世界の覇権はだいたい65~70年が1サイクルで、1637年のオランダのチューリップ大恐慌以来、そのサイクルを外れたことは一回もないんです。ドルが覇権を取って65年経ったからアメリカは限界だと言う人もいるけど、私はその見方とは別に、貧富の差が広がりすぎて固定してしまった閉塞感から、アメリカは終焉を迎えると考えています。日本の企業も、「会社は勝てばいい、儲けを伸ばせばいい」 というフォーマットの次のフォーマットへの対応を、本気で考えておかないといけません。
 そのときのテーゼは、社員が幸せで会社が潰れなくて、皆が気持ちよくいい仕事ができることじゃないでしょうか。人生の目的は金儲けか、幸せに生きることか、どちらだろうか。「幸せに生きるために働くんだ」 と、私は思いたいですね。
 
100701_sp0014_d07.jpg

東京本社社屋の変遷をふりかえりながら。40年ぶんの歴史を思い、ネクストステージへの決意を新たにする小山氏。

 
 
 
(インタビュー・文 新田哲嗣 / 写真 スズキ シンノスケ)
 
 
 
 会社概要 
株式会社 船井総合研究所
 所在地 
東京都千代田区丸の内1-6-6 日本生命丸の内ビル 21F
 URL 
 
 
 

 

スペシャルインタビュー ランキング