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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW


 
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社長室を飾る賞状の数々。(株)武蔵野は
2000年度「日本経営品質賞」の受賞企業だ。

プロフィール 1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間120回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。。
 
 
 
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『仕事ができる人の心得』
小山氏の考えが詰め込まれた
代表著書の一つだ。

――(株)武蔵野の代表取締役社長・小山昇氏。多くのメディアへの露出や、年間120回を超える講演会、著書『仕事ができる人の心得』などで広く知られ、親しまれている名物社長である。自社の社員から、あるいは一般の人々から、なぜ小山氏がこれほど支持されるのか。氏の行動を追っていくと、その理由がよく分かる。一見して「破天荒」と思われる言動も実に理にかなっており、一緒にいると、ひたすらに驚きを与えてくれるのだ。今回のインタビューも現場は笑いに包まれ、スタッフ全員が身を乗り出して小山氏の話を聞いていたことは紛れもない事実。圧倒的なコミュニケーション能力で人をひきつける小山氏の仕事哲学の、神髄を探る。
 

年間50日は必ず社員たちと宴席を囲む
 

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 いきなりこう言うと驚かれるかもしれませんけど、とりあえず飲み会の話からしましょうか(笑)。 だって、スタートから固い話だと肩がこるでしょう? そもそも私がそんなの嫌だから(笑)。 私はね、年間50日は必ず社員たちと一緒に飲むようにしているんです。それぞれの飲み会はだいたい8人くらいまで。お酌がしあえる範囲内ですね。席はくじ引きで決めて、まず最初に社員が自慢話をするんです。または小学校時代の思い出や自分の出自についてなど、テーマはそのときどきに決めて。ひとりの持ち時間は2分。8人だとだいたい16分ですね。ただ、ここからがおもしろいんですよ。ひとりの話が2分を超えても罰金、2分を切っても罰金(笑)。 罰金はその場に1000円づつ出していって、最後にじゃんけんで勝った人が、そのまとまったお金を持って帰れるんです。ちなみに私と飲む場合は、会費は職責×1000円ですので、課長は3000円ほど。じゃんけんで勝った人は払わなくていい。だからみんな真剣にじゃんけんしちゃったりしてね(笑)。
 
 なんでこんなことをしているかというと、ちゃんとした理由があるんです。まずは飲み会をやることで距離感がなくなるから。次に2分間スピーチでは、社員が全員話すと、今度は私の話を聞きたくなる心理が働くから。最後には感情のやりとりができるから。何が言いたいかというとね、コミュニケーションというのは、感情と情報のやり取りでしか築けないということが言いたいわけです。
 
 
 
 
――罰金と聞くとドライで現実主義的なイメージも起こるが、小山氏の目的は罰金そのものではない。その向こうにある人間の心の動きを読み、コミュニケーションのためのひとつの制度として成立させているのだ。そこでビジネスパーソン諸兄が気になるのは、「相手の感情の動きをコントロールする方法」ではないだろうか。小山社長にお聞きしてみよう。
 

社員教育は実務の中でしか行えない
 

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 感情は心に宿るもので、情報はモノ・コトに宿る。でもね、字面をよく見てみると、そのどちらにも「情」という字があるでしょ? 「情」というのは接する回数を重ねないと生まれてこないものなんですよ。一度や二度、ちょっと飲んで話したぐらいで関係性に質を求めるのは間違っています。
 回を重ねて培った信頼感があるからこそ、仕事をする上でも叱ったり、責任をとったりすることが意識的にできるようになる。たとえば、「人を叱るときは相手の人間性を否定してはいけない」というルールがあります。その人がやってしまったコトを叱る。そこには、その人に対して「こいつを伸ばしてやりたい」といったポジティブな感情が働くわけで、コミュニケーションが築けていないと、叱るほうも相手のためを思ってあげられませんよね。社員同士がそのような良い関係性になっていくためには、きちんと社内で教育をしなきゃいけない。私が年間50回も飲み会をするのはそういう理由があるからです。もっとも、私が飲みたいという以外の理由をあげるなら、ですけどね(笑)。
 
 では、どのように教育していくか。これにはコツがある。まず最低限必要なのは、仕事を通して教えないと身に付かないということ。精神論だけを振りかざしても、それは教えるほうが気持ち良くなっているだけで、実際に教えられている人の身にはついていないものなんです。
 私だったらどうするか? 極論ですが、たとえば社員とともにパチンコ店に行くとする。先に社員に好きな台を選ばせて、自分が後に選ぶ。よほどパチンコがうまい人であれば別ですが、まあだいたいが、先にやったほうがボロ負けするんですよ。で、そういう勝負事のコツを知っていれば私が勝つわけです。その結果を見せて、「どうだ? 俺が言っていること、俺がやっている方法は間違っていないだろう?」と教える。仕事だって同じですよ。実務を通して身に付けさせるということは、常に彼らと同じことをやって上司が結果を出していかなくてはいけない。だからこそ部下は素直に見習う気になれるのですから。
 あとは、その人のことをよく知ってやるということですね。武蔵野ではよく表彰式をやるんです。表彰というぐらいですから、成績や結果を出した人に対するものなのですが、私は絶対に額面通りには表彰状を読み上げない。
 たとえばこんな感じです。
 
 
 

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