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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

コミュニケーション経営の先駆者が
“考える社員”を育てる秘訣を語る

 
 
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 たとえば遅刻。遅刻そのものは決して良くないことです。でも、たとえば私や上長が「遅刻をするな」と口で言ったところで、遅刻癖がある人が遅刻しなくなるわけではない。ではどうするか? 当社の場合は罰金を科します。ただの罰金だと非常に厳しいイメージですが、すでに罰金として罰を受けているので、遅刻しても怒られないんですよ。むしろ、遅刻すると皆から拍手で迎えられる。それはこうした罰金が社員旅行などの際のじゃんけん大会に賞金として放出されるからです。余談ですが、皆これはものすごく燃えましてね。なんせ額が大きい。累積で年間80万円くらいの金額が貯まりますから。しかも税金がかからず、奥さんや家族にも秘密のヘソクリにできる。だから罰金も素直に払えるし、遅刻しても明るく拍手で迎えられるという、通常では考えられない現象が起こるわけです。これによって社員たちは、「遅刻をしたらどうなるか」ということが理解できる、つまり「伝わる」わけです。
 
 
 
――「伝える」と「伝わる」は違う。そう区別して言い切れるところからも、社員とのコミュニケーションの在り方が伝わってくる。それだからこそ、社員は育ち、会社にとってかけがえのない存在になっていく。
 
 

武蔵野の「愛」とは「関心を持つこと」

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 自分たちの考えを文化として根付かせるためには、必ず「ルール」と「定義」が必要です。スポーツを見たりやったりして楽しいのはルールを分かっているからに他なりません。一口に「がんばれ!」と言っても、ルールがないと勝っているのか負けているのか分からない。同じ勝ちでも、1-0で勝てばいいのか、10-5で勝ったほうがいいかにルールがなければ、、自分たちの価値基準が分からなくなってしまいます。そしてこのルールは社長以下すべての人に適用されなければいけません。社長、専務、常務、部長、課長、そして社員と、それぞれにルールが違ったり、おかしな聖域ができてしまうと、会社はすぐにバラバラになるでしょう。
 ですので、武蔵野ではルールブックを作って、社長以下全員が所持するようにしています。ルールがあれば、社員がどう動かなくてはいけないかは明確ですよね。野球でいえば、バットを振ってボールを打ったら一塁に走るのがルールです。「私は三塁に走りたいんです」と主張するならば、三塁に走るのを許してくれる会社で働いたほうがいい。武蔵野の場合は、社長が決めたことは全員が実行する。逆に、社長が間違って決めないよう、社員は正しい情報を出す。これが基本ルールになっています。これが崩れると文化は根付きません。
 もちろん、ただ一方的に「社長が決める」のではいけません。最初は社長がルールを決めますが、改正していくのは社員の仕事。ルールに不満があるならば、不満を持っている人たちを集めてルール改正をしてもらう。こうして道具を作り、使い方を教え、さらなる良い道具を彼ら自身の手で作り出していける風土が、その企業の文化を育むのだと私は考えています。
 
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 もうひとつ大事なことは「定義」ですね。たとえば、ビールを飲みたいと言って日本酒を出してくる人はいないでしょう。それは、ビールというものは麦から作られていて、金色で泡が立って・・・・・・という定義が共有されているからです。出発点では、同じ日本語でも言葉は全員違うと考えるべきです。「愛とは何か?」と尋ねれば十人十色の答えが出てくるのと同じです。ちなみに武蔵野では「愛」とは「関心を持つこと」と定義していますし、ルールブックにもちゃんと載せています。
 私はこうした「ルール」と「定義」が、人を、会社を、動かしていくのだと思います。もちろん、そこには社員に対する “愛” がなければ、何も始まりませんけどね(笑)。 
 
 

(インタビュー・文 新田哲嗣 / 写真 田中正清)

 
 会社概要 
株式会社 武蔵野
 本社所在地 
〒184-0011 東京都小金井市東町4-33-8
 オフィシャルサイト  
 
 
 

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