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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

製品同様、視界良好な組織作りで
目指すは「100年ブランドの構築」

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――いろいろ戦略を練ったりするより、かえって直接的に響きそうですね。当時は寝ても覚めてもメガネの話ですか?
 
それどころか、寝ずにメガネの話です(笑)。共通する点もありますけど、基本的にみんな意見が違うから、ぶつけあいになると引かない人は全然引かない。ミーティングが終わると朝で、もうフラフラ。結局、眠気に負けて「じゃあ、お前の言うようにしようか」なんていうこともよくありました。
 
――皆さんの熱い思いがお店の方にも波及していったのですね。そこまで語られると、お店側にも気持ちの変化が表れるのではありませんか?
 
最初は「フォーナインズです」って言っても、お店の人たちも知らないわけですからね。だから、どういう考えでやっているかを一生懸命語らざるを得なかった。そしてその思いをいかにお店からお客様に伝えていただけるか、納得していただけるか。お店を通じてお客様との関係を継続すること、一過性の関係に終わらせないことは今でも大切にしている基本です。従来、メガネの流通には系列があって、メーカーと小売店の間には問屋さんが何段階も介在していたのですが、僕たちは原点に近いところから一気にお店にアプローチしたかった。だから自然と「1軒1軒と直接契約を結ぶ」スタイルになっていったんですね。 
 
 

ブランドは携わるすべての人のもの。
世代を超えた人材育成のため、今は環境づくりが大事な時期

 ――飯村さんが代表になられてまもなく1年が経ちますが、この間にあった変化といえば?
 
実はあまりないんです。たまたま今回は僕が代表になったけれど、誰がなってもよかったと思います。逆に、誰が代表になってもいいようにしないと、その人がいなくなったら終わりじゃないですか。バトンタッチが常に問題なくできる環境をつくっていかないといけないと思っています。それが100年続くブランドだと。会社やブランドは個人のものではなくて、携わるみんなのもの。そうならないと継続できない。(ブランドが)個人のものになると「血」でしか繋げられなくなる。だから創業メンバーのなかでは「子どもを就職させない」という約束事もあるんです。
 
――創業から14年が経過しました。創業者世代から次の世代に伝えていきたいものは何ですか? 
 
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「次に伝える」というのはブランドのスピリットを継承するための「人材育成」が中身になると思うのですが、人が育つために大事なのが「環境」だと、僕は思っています。全力を出せる環境が整えばそれだけ可能性が広がって、会社の中から、いろいろなことができる人が出てくると思います。モノづくり、お店の運営、広告、企画と部署は違っても、それぞれが実力を発揮できる環境が整えば、自然とみんなが活き活き働ける。それで毎日が楽しければ余計なストレスがなくなる。そういう循環をつくっていくことが、これからはますます重要だと思っています。
それから、仕事をしていて大事なのは「何ができるか」ではなく、「何がしたいか」を表現すること。できる、できないは別として、やりたいことがあるなら大きな声で、手を挙げて言う。それでみんなの賛同が得られればできるし、賛同が得られないというのは、それが間違っているか、今がそのタイミングじゃなかったということ。それは代表である僕も同じだし、社員全員に手を挙げる権利がある。でも、声は大きくないとダメ。陰でこそこそ言っても誰にも聞こえませんから。
 
――大きな声が上げられる風土をつくるのも環境づくりのひとつですね。これまでお話を伺っていると、「フォーナインズ」はモノづくりにしても、流通や採用にしても、業界や時代の風潮に流されない、独自の路線を歩んでいるように思えるのですが?
 
たとえ周囲がどうであれ「自分たちがいいと思う方向はこれなんだ」と、心から納得できない限り、本当の満足って得られないんじゃないかと思うんですね。だから、自分たちが納得できることをきちんとやろう、というのが基本的な考え方です。働いている以上、気持ちよく胸を張って仕事がしたいじゃないですか。隠し事があったり、世の中に無理矢理従ったりしてみても、どこかにムリが出る。人に迷惑をかけたり、つらくなるんじゃないかと。
 
――では最後に、仕事を楽しむコツを教えてください。
 
いちいち考えないで仕事を生活の一部にすることでしょうか。ご飯を食べたり、朝起きて歯を磨いたり顔を洗ったりするように、何の抵抗もなく(仕事が)やれるのが理想。それから、自分の意思で決めること。人間誰でも、他人に指示されるのって、根本的には好きじゃないと思います。誰かに言われるのでなく自分の意思で決めたほうが、絶対楽しいですよね。「探す・選ぶ・決める」を自分の意思でやること。美味しいお店でも自分で探して見つけたほうが人に教えてもらうより楽しいと思うんですよ。仕事も同じで「やらされ感」があることはなかなか続かないんじゃないかな。間違ってもいいから、自分の意思で決める。すべてはそこから始まると思います。
 

(インタビュー 高橋正通 / 文 栗原潤子 / 写真 田中正清)

 
 会社概要 
株式会社 フォーナインズ
 本社所在地 
〒157-0066 東京都世田谷区成城2丁目11番12号
 設  立 
1996年(平成8年)4月9日
 事業内容 
sp0003_090801_ex02.jpg (フォーナインズ)眼鏡フレームの企画、製造、販売
直営店における小売販売
その他関連商品の輸出入
 オフィシャルサイト  
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