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「古酒を子孫に伝えたい!」1946年、波乱の世に山川酒造誕生

山川酒造が創業されたのは1946年。
それは沖縄の伝統であり文化である古酒を復興させ、子孫に伝えるという創業者山川宗道の強い志によるものであった。
今でこそ多くの蔵元が古酒造りを行っているが、その歴史は決して平坦なものではなかった。首里三箇の時代から脈々と受け継がれてきた泡盛造りは第二次世界大戦で大きなダメージを受けたのである。戦火は泡盛の蔵を、数百年熟成を重ねてきた古酒を焼き尽くし、泡盛の製造は禁止に。再び泡盛造りが解禁されたのは戦後のことであった。
 
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山川宗道は「どんな時でもとにかく頑張って古酒=クースを寝かせておけばいずれは古酒の時代がやって来る」と本部町で泡盛造りに没頭。
しかし戦後、復興を遂げる沖縄は米国統治下にあり、高級な洋酒が低価格で流通するまさに洋酒市場。郷土の酒であるはずの泡盛は低迷状態に陥ったのである。
 
 

古酒への情熱を守り続けて

泡盛に一大転機が訪れたのは1972年。
本土が日本に返還されると、沖縄の人々にアイデンティティーが芽生えると同時に焼酎ブームが到来。手軽な720ml卓上ボトルがお目見えしたこともあり、泡盛は若者や女性の間でも人気が高まり、泡盛景気が到来した。「造れば売れる」時代にあって山川酒造は古酒づくりを忘れることなく、泡盛を熟成させ続けていたのである。
 
そして沖縄本土復帰30周年を迎えた1997年、『琉球泡盛限定秘蔵酒 かねやま30年古酒』を販売。
すでに幻と思われていた古酒の登場は地元沖縄ばかりでなく全国の泡盛ファンの間で話題に。その驚くほどまろやかで深みのある味わいに人々は感嘆のため息を漏らした。
 
古酒復興の第一歩を確実に踏み出した山川酒造は
2004年『琉球泡盛限定秘蔵酒 かねやま 33年古酒』、
2006年『琉球泡盛限定秘造酒 かねやま 35年』、
そして2007年には究極の古酒『かねやま1967 40年大古酒』を発売。
『かねやま1967 40年大古酒』に至っては1本30万円という価格でありながら予約時点で完売という快挙を成し遂げたのである。
今や“古酒のやまかわ”と称されるまでに成長した山川酒造は、日本国内はもちろん、海外のお酒ファンからも注目を集めている。
 
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百年古酒を夢見て~古酒はつくり手と歳月のコラボレーション

創業者山川宗道の「どんな時でもとにかく頑張って古酒=クースを寝かせておきなさい。いずれは古酒の時代になるから」という言葉を頑固なまでに守り続けている山川酒造。
日本酒でも、焼酎でも「酒は水が命」。山川酒造では清冽な八重岳に湧き出る水を使用、ミネラルを豊富に含む水は麹菌や酵母を活性化させ、泡盛に芳醇な香味をもたらす。
3代目である現社長、山川宗克氏は創業者宗道、2代目宗秀から受け継いだ古酒のために貯蔵タンクを増設。現在では造ったの泡盛7割もが熟成工程へと進み、古酒となるべく眠りにつく。
10、20年・・・百年。古酒はつくり手たちの情熱が受け継がれて誕生する、まさに夢の酒。それはまるでタイムカプセルのように味わう人に感動を与えてくれる。
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創業者 山川 宗道 氏

 

 

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