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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

歯周病の専門医として
口から全身の健康を守る

 

糖尿病や脳の病気にも影響する歯周病

 
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杉田 私は日本健康マスター検定のエキスパートコースの資格を取得してから、医療や健康のセミナーで医療従事者の方とお会いする機会が多いんです。その中で最近、歯周病と糖尿病の関係について聞きました。歯周病になると血管の炎症が発生し、インシュリンの分泌量が低下するそうですね。世間には歯周病が引き起こす合併症について知らない人も多いでしょう。
 
後藤 口腔内細菌が全身疾患に影響をおよぼすことについての研究は、1950〜60年代頃には発表されています。とは言っても、一般の方々までは認知されていませんね。糖尿病のほか、妊娠中の患者さんは早産や低体重児出産になりやすいとも判明しているんですよ。また、アルツハイマー病に歯周病が関わっていると言われることもあります。
 
杉田 ええっ! それも血管の関係によってですか?
 
後藤 歯周病による炎症物質が血流に乗って全身に巡ることが、原因の一つだと考えられています。加えて、歯が失われて噛めなくなることも原因と見られているようです。噛む行為によって歯根膜という歯と骨をつなぐ膜がクッションのように押され、血流が促されます。その運動がなくなり、血流が停滞することで、アルツハイマーの原因とされる蛋白が脳付近に蓄積されてしまうとも言われています。
 
杉田 歯って食べ物の消化だけでなく、血流にも深く貢献しているんですね。それも初めて知りましたよ。
 
後藤 足はよく、第二の心臓と言われますよね。実は歯やあごも、脳に血液を送るための重要なポンプなんですよ。
 
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杉田 噛む行為って本当に大事なんですね。私の母は亡くなる日の最後の食事も、自分で食べることができたんです。「最後まで食事を楽しめて良かった」と、娘として感じていました。それが叶ったのも、70代のときに歯を全部治したおかげなんですよ。
 
後藤 杉田さんのお母様のように最後まで食事を楽しむため、若いうちから歯周病対策をしておくべきでしょうね。歯周病は歯を失う理由1位なんです。というのも、歯周病は痛みなどの自覚症状がなく、本人も気付かないまま20年、30年かけて進行していきます。「虫歯がない」と自慢している人が、歯周病を放置して手遅れになるケースも珍しくありません。自覚のないもの、症状がごく軽度のものも含めると、今は成人の80%が歯周病といわれています。だから、早めに自分の状態を知り、予防の意識を高めてもらいたいですね。