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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

不妊治療で社会へ貢献
最新の卵子凍結にも精通

 

不妊治療に専念し患者の身近な存在になる

 
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川上 日本は不妊治療への理解ですら欧米と比べるとかなり遅れているのに、卵子凍結になるとなおさら周囲の理解が難しそうな気がします。
 
菊地 川上さんの話にもあった日本の性教育の不甲斐なさから、不妊治療や卵子凍結の話題はある意味タブー化しています。悪い連鎖も手伝い、日本は晩婚晩産化による少子化が止まらないのかもしれません。欧米では多くの女性が利用しているくらい、卵子凍結はメジャーなんですよ。
 
川上 少子化を考えたら、必要な医療ですよね。やはり、子どもを産める期間は限られているので、卵子凍結保存は新たな選択肢になると思います。今も鮮明に覚えているのは、9歳のときスウェーデンの授業で見た映画ですね。男女の体の成長記録から始まり、男女2人が出会い愛しあい、女性が妊娠して出産するんです。最後の出産シーンが強烈で、帰宅してすぐ、両親と話し合いましたね。
 
菊地 子どもだからって性の話題を隠す必要はないんですよね。日本はどうしても隠そうとしてしまいがちなので、私も含めた関係者は性に関してオープンに話せる雰囲気をつくっていかなければなりません。
 
川上 以前、スウェーデンの考えを伝えるべく幼児から読める本を翻訳したんです。でも、性的な内容が含まれているという理由で置いてくれる書店も少なく、かなりショックを受けました。
 
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不妊に悩む人の身近な存在として2019年5月に開院
菊地 命をつくるという繊細かつ重要な話なので、国や自治体にもしっかりとした教育をしてもらいたいですよね。不妊治療や卵子凍結と同様に性教育の大切さも広めていくつもりです。得意分野に専念したことで、患者様との時間も多く取れるようになりましたからね。
 
川上 身近な存在として、大切なことをきちんとお話していただけるのはありがたいですよ。悩みも聞いてほしいですしね。
 
菊地 大学では立場上の責任もあり、幅広い業務に追われていました。しかし今は、これまで学び培ってきた不妊治療の技術と知識を社会に還元していくという使命を感じています。