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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

仕事を通じて物心両面で
豊かな人生を提供する

 

人の五感を満たす環境づくりを目指す

 
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畑山 どのお店も体にやさしくて安心できる商品に力を入れているわけだ。なぜこれらのお店を運営しようと思われたのか、気になりますね。ぜひ野寄社長のこれまでの歩みを教えてください。
 
野寄 私は母子家庭で育ちました。女手一つで育ててくれた母に楽をしてもらいたくて、医療系の公務員になったんです。艦艇の医務室に准看護師として乗務した時期もありましたよ。
 
畑山 それは珍しいご経歴だ。やりがいも多かったでしょうね。
 
野寄 ええ。しかし、病院で勤務していた時に患者さんと接する中で、「医師にかかるより前に、何かできるケアがあるんじゃないか」と考えるようになりました。そして、心身の病気やケガを未然に防ぎ、健康でいきいきと過ごせるように必要なことは何かを模索したんです。その中で、自然療法の分野であるアロマテラピーや薬草などに興味を持ちました。当時は働きながらそのような分野を学べる学校がなかったので、独学で勉強しましたね。
 
畑山 それでオーガニックに関心を持つようになったと。事業として行おうと思ったきっかけはなんだったんですか?
 
野寄 大きなきっかけは母が病気を患ってしまったことですね。私が自然療法の勉強をしていた時期に、母が脳の病に倒れ、視力や運動機能に大きな後遺症が出ました。その母を支えながら勉強を続けることは公務員の仕事では難しく、周囲の反対を押し切って退職したんです。それからは、さまざまな仕事をしながら介護と勉強を続けました。
 
畑山 想像を絶するような苦難の中、相当な努力を積んだんでしょうね。それだけ自分の理想を実現したい気持ちが強かったんだ。
 
製パン店じゃぱんの外観。中央は甲冑を着た野寄社長
じゃぱんの外観。中央は甲冑姿の野寄社長
野寄 そうですね。現在も自身の中に活きている経験として、お金と時間の大切さ、チームづくりの重要さなどは、当時の苦労の中で学びました。ただ、いくら夢を持っていても、先が見えない状況での労働は、疲労が蓄積する一方ですし、心の余裕も失われてしまいます。そこで自分の生きがいを見い出すために、思い切ってチャレンジしようとアロマとハーブを扱うリラクゼーションの会社を設立したんです。
 
畑山 若い頃から濃密な人生を歩んでこられたんですね。野寄社長の非常に強い意志を感じるお話です。
 
野寄 ありがとうございます。もっとも、起業後も臥薪嘗胆の日々は続きました。現在こうして株式会社おおきにを設立してから「人間の五感を満たす環境づくり」という自分の理想を形にできるようになったと感じています。