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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

床工事の専門会社が 
下地調整剤の開発に成功

 
 
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床工事のプロとして下地補修剤の自社開発まで行う
川﨑 世の中に、思いがけない出来事というのはあるものですね。でも、パン職人の仕事は重労働で大変でしょう。
 
服部 そうですね。毎日、夜中の2時からパンをつくる生活を3年間続けましたよ。その後、東京に戻り、いずれはパン職人として独立するつもりで大手ベーカリーチェーンに就職したんです。4年後、ロサンゼルスでシェフをしている友人に「アメリカで一緒に仕事をしよう。いずれはベーカリーをオープンしよう」と声をかけられました。そこで退社し、アメリカへ。ラスベガスのホテルに履歴書を渡し帰国して、採用結果が届くまでの間、人材派遣会社に登録しました。そこで派遣されたのが床工事の現場だったんです。
 
 

本気で取り組めば負けるわけがないと起業

 
服部 ところがホテルへの就職がうまくいかず、アメリカに渡ることはできませんでした。東京に残るしかなくなったその当時、お世話になった床工事の職人がとても魅力的だったんですよ。その方との出会いがきっかけで、私はこの仕事を続けようと決めました。
 
川﨑 まさに服部社長は、波乱万丈を絵に描いたような人生を送ってこられたんですね。最初に床工事を手がけたときの感想や、独立のきっかけも教えてください。
 
服部 初めのうちは「床工事の仕事は、なんていい加減なんだ」とあきれましたね。なぜなら、パンは生地を焼くのに1℃の温度差や1gの分量の差まで気を使うのに、床工事は「これくらいでいいだろう」とかなり適当だったから。それに現場にいるのも、ミュージシャンなど別の夢を実現するために仕事をしている同僚ばかり。私が本気で取り組んだら、負けるわけがないと思いました。結局、1年後に周囲の同僚から「自分たちがついていくので独立してほしい」と頼まれ起業することになったんです。
 
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川﨑 なるほど。意外ないきさつから床工事という一生の仕事に出合った、まるで小説のようなお話ですね。ところで床というのは、どのような状態か見た目では判断しづらいのではないでしょうか。特に、剥がしにくいものがあると作業が大変だと思うのですが。
 
服部 建築物の床は簡単に剥がれると困るものですが、昔はアスファルトのノリを使っていたので、数年もすると勝手に剥がれてしまう場合が多かったんです。それが、ウレタン製など接着力の強い接着剤を使用するようになり剥がれにくくなりました。現在はさらに進化して、貼りやすく剥がしやすい接着剤が普及してきたんです。ただ、こうなると床工事専門業者の仕事はなくなってしまいます。私はどうすればいいか考えて、一つの結論に達したんですよ。