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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
プロフィール 滋賀県出身。幼少期にテレビで偶然知った「代理」という法律用語を通じて、法律家の仕事に興味を抱く。大学卒業後は東京で一般企業に就職するも、滋賀で社会保険労務士事務所を営む義父に勧められ、帰郷して義父の事務所で働くように。社会保険労務士の資格を取得し、数々の研究会に所属するなどして知識を蓄えながら20年間にわたって勤めた。2013年に開業。2016年6月、顧客とのつながりと利便性を考え現在地に事務所を移転した。
 
 
 
労働環境改善について多くの議論がなされる昨今、中立公正な立場で働き方を考える社会保険労務士の活動に注目が集まっている。滋賀県大津市で活動する社労士・古川政明氏は、顧問先となる企業を足繁く訪問し、得られた情報の中からトラブルの芽を摘み取ったり、企業の生産性を向上させるためのアドバイスを行ったりしている。目指しているのは「町医者社労士」。あらゆる場面で労使双方から頼られる存在になることだ。
 
 
 

奥深い労働法に多大な関心

 
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インタビュアー 山本隆弘(元バレーボール選手)
山本 ふるかわ社労士事務所を営む古川代表が、社会保険労務士の仕事に興味を持たれたきっかけを教えてください。
 
古川 小学生の頃、テレビで「代理」という言葉を耳にし、調べてみたところ、本人に代わって法律行為を行うことだとわかりました。それがいかにも“正義の味方”的でかっこよくて、将来は法律の勉強がしたいと思ったんです(笑)。その後、大学の法学部に進学しました。叔父が労働省のキャリアだったこともあり、労働法との距離は他の学生より近かったように思います。
 
山本 労働法と聞くと、難しい法律である印象を受けます。僕からすると、刑法や商法のほうが馴染みがあるような気がしますよ。
 
古川 私も労働法に対し、かつては暗いイメージを持っていました。大学卒業後は一般企業に就職したものの、当時、交際していた妻の父親が社労士だった縁から、社労士業に携わることになりましてね。そこで実際に勉強してみると、労働法はとても奥深く、掘り下げるとおもしろいことがわかったんです。
 
山本 ほう、難解な法律をおもしろいと。特に、どういった点に魅力を感じられたんでしょう?
 
古川 労働法と言うと、労働時間や働き方を国が規制するための法律だと思われがちですよね。でも本当は、働く人々の人間関係を調整し、争いを収めるための、いわば人間の心理に深く根ざした法律なんです。労働関係で裁判になっている事例は数多いですが、一つひとつその人間模様は様々で、これらを丁寧に読み解いて労働法や民法の趣旨を考えるといろんなことに気付くのですよ。私はいくつかの労働法研究会に所属しています。人は人生の大半を働くことに費やしていますし、いろいろな人の話を聞いたり判例等を研究したりすると、そこでの人間模様が垣間見られ、興味深く、紛争を回避して良い職場環境にするにはどうすればよいのかを考えるうえからも、またさらに掘り下げてみたくなりますね。