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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

ゴミ収集車の修理で
人々の暮らしを支える

 

100万円の寄付を目標に独立を決意

 
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難民キャンプで出会った子どもたち
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貧しい人に無料で医療を提供するドクター・シンシア(中右)と
吉沢 そんなある日、知人の経営者から「今の若い人たちには、もっと海外を見せなければならない。世界に目を向ければ夢も希望もいくらでもあるとわかるはずだ」と言われたんです。
 
宮地 娘さんが、不登校から立ち直るきっかけになるかもしれませんね。
 
吉沢 私もそう思いました。ただ、本当の海外を知るには自分の目で確かめる必要があります。ですので、休暇を取ってタイやミャンマーなど東南アジアに出かけました。そこで目にしたのは、現地のすさまじいまでの貧富の差でした。大変な勢いで伸びている東南アジア諸国の経済は、日本とは比べものにならない理不尽さがあって成り立っていたんです。そこでタイとミャンマーの国境付近で難民の救援活動をしている日本人と知り合い、ぼろぼろの医療施設を紹介され衝撃を受けました。そのとき、誰に頼まれたわけでもないけれど「1年後、この施設に100万円を寄付しよう!」と自分に約束したんです。
 
宮地 100万円というと大変な金額ですよ!
 
吉沢 そうですよね。当時の給料では、とても1年で貯めることはできない金額でした。だから私はこの仕事で独立を決意したんです。開業資金も全くなかったのですが、「お前がやるなら協力するよ」と言ってくださる方も大勢いたので、思いきって決断しました。
 
宮地 吉沢社長の起業には、驚くようなエピソードが隠されていたんですね! ゴミ収集車のメンテナンスというお仕事は、具体的にどのようなものかも、ぜひ教えていただきたいのですが。
 
吉沢 一般的にゴミ収集車というと、住民の出すゴミを回収する自治体の車を想像しますよね。でも、ゴミ収集車はそれが全てではありません。店舗や企業のゴミを収集する業者がたくさんいて、ゴミ収集車の数は東京都内だけで2万台に及ぶんですよ。
 
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宮地 店舗や企業のゴミ収集は夜間にすることが多いし、土日も休むわけにいきませんものね。
 
吉沢 おっしゃる通りです。それなのに、ゴミ収集車の修理ができる会社は東京に数社しかありません。しかも、それらは大手自動車メーカーの修理部門。「ゴミを収集している途中で車が壊れたから修理してほしい」と連絡があっても、夕方だと「じゃあ明日、持って来てください」、さらに金曜日だと「月曜日にしてください」となります。ゴミ収集車を何十台も保有している大手なら予備もありますが、そうでない大多数の業者さんは、車が1台壊れただけで業務が立ちゆかなくなるんです。