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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

機械化で先行く林業会社
放置山林の再利用を促進

 

山に関心のない所有者に向けた提案型林業へ

 
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宮地 作業手法の変化とは別に、山を所有する方たちとの関係も、変わりつつあるのでしょうか? 鈴木木材さんは山の所有者の方からの依頼で、木を伐採して市場に出しているんですよね。
 
鈴木(翔) はい。昔との大きな違いは、山林に木が茂りすぎるのを防ぐ間伐にしても何にしても、広範囲に山を集約して行うようになってきたことですね。かつては個別の山主様と取り引きしていましたが、材価の下落にともなって、手入れをしないまま放置される山が増えた結果、従来のやり方では林業自体が成り立たなくなってきたんです。そこで、私のほうから複数の山主様に声をかけ、「弊社が作業をしますので、皆さんが共同で手入れをしてはどうでしょう」と提案しています。
 
宮地 なるほど。山主さんの注文を待つのではなく、こちらから提案をしてお仕事を取りにいく姿勢に変わったんですね。
 
鈴木(翔) 材価については時期に応じて、値下がりしたままじゃ売れないという意識が働くんです。しかし、いずれ値上がりするものだと期待して手許に残しておくうちに山主さんも高齢化して代替わりしますから、どうしても山への関心が薄れてしまうんですよね。樹木の発育を助けるために一部の木を切る間伐も、材価がよくないので行わない方もたくさんいます。しかし、やらなければ山の状態はいい方向に向かいません。
 
宮地 そうかぁ・・・。わかる気がします。でも、手入れをしないで放っておくわけにはいきませんよね。
 
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鈴木(翔) ますます施業しにくい山になってしまいますからね。だから、まずは山主様にそのことを知ってもらおうと、1軒ずつ回ってご説明しているわけです。こういうことができるのも、祖父や父が、地元の山主様たちと長い時間をかけて信頼関係を築いてきてくれたから。林業のやり方は人それぞれですけど、これが今の鈴木木材流なのかなと思っています。
 
宮地 創業時から受け継いできた信頼関係を大事にして事業を展開していくわけですね。今まで馴染みのなかった林業の世界ですが、お2人にお話をうかがって、なくてはならない大切な仕事なのだとわかりました。これからも時代の変化に合わせながら、事業を成長させてほしいです。
 
鈴木(翔) ありがとうございます。国内の林業は全体的に厳しい状況にあります。ですが、山を集約して少しでも林業の仕事につなげていこうという今の動きは、国や県がそういった方向に進むよう環境整備をしている結果でもあり、その点は前向きに捉えています。機械化のことも含め、業界は大きな過渡期迎えている時期。当社も林業を通した地域活性化に一役買うくらいの意気込みで、山主さんとの共存共栄を目指していこうと思います。 
 
 
 
「仕事を楽しむ」とは‥
山を所有することの価値が下がっており、手入れをできないでいる山主様も多いです。その問題を共に考え、改善策を提案することで皆様とのつながりが広がるのが楽しいです。また、若い従業員が林業の世界に入り、機械作業はもちろん、キレイになっていく山と共に成長する姿を見るのも楽しみですね。
(鈴木翔吾)
 
 :: 会社概要 :: 
   ■ 社名 有限会社鈴木木材
 ■ 本社 〒319-3704 茨城県久慈郡大子町上野宮1191
 ■ 事業内容 造林・保育/素材生産・販売
 ■ 設立 昭和48年1月