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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

機械化で先行く林業会社
放置山林の再利用を促進

 

効率的林業を行うために機械化

 
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宮地 50~60年を経た木なら、もう家の木材にも使えるんですか? 人の一生と比べると長いほうですけど、木はもっともっと長生きでしょうから、成長しきっていないという印象も受けます。
 
鈴木(翔) 最近の建材は1本の木から柱をとるだけでなく、薄いものを何重にも張り合わせる集成材もあるので、50年生くらいの木が用材を取るのにはちょうどいいです。逆に、100年も育った木は用途が限られることがあるんですよ。
 
宮地 時代によって、求められる木材のニーズも変化していることがわかるお話です。ところで、五一社長が2代目で、翔吾取締役は3代目ということですが、翔吾取締役は早くから、いつかお父様の後を継ごうと考えていたんですか?
 
鈴木(翔) 大学まで行かせてもらいましたが、長男なので自然と意識していたところはありますね。家を離れていた間も、一般にはあまり知られていませんけど林業の今後については国会でよく取り上げられていて、自分でもあちこち調べては「なるほど、今の業界はこんな状況なんだ」と情勢の把握していました。
 
宮地 着々と準備されていたんですね。林業を取り巻く環境は現在、どうなっているんですか?
 
鈴木(翔) 戦後の林業は、輸入自由化の影響による材価の下落傾向とずっと向き合ってきたんですが、近いところでの一番の変化は、2000年以降から機械化が一段と進んだことです。父の代にはほとんど手作業だったのですが、今は建設機械をベースにした大がかりな設備を使用するのが主流になってきて、それがあるのとないのとでは、作業効率が段違いなんですよ。それらを導入するために、林業には多額の設備投資が必要になっています。私がこの仕事を始めて、最初に着手した仕事も機械化でした。
 
宮地 機械を使えばかなり作業負担を減らせるんでしょうね。
 
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経験豊富な2代目、鈴木五一社長(右)
鈴木(翔) 工程別にいくつかの機械を使いますが、例えば造材といって切り出した木を丸太にする作業だと、倒した木の太いところを機械の腕でつかみ、余分な枝を落とし、3mなど決まった長さに切って丸太に仕上げるまで、全部1台の機械で済んでしまいます。切ったものを林道まで下ろすのも今は機械の作業。これを全て人力でやることを考えると、だいぶ違うでしょう?
 
宮地 そうですね。機械があるととても助かると思います。
 
鈴木(五) 全くです。ソリに載せて林道に下ろしていた私らの時代とは大違いですよ(笑)。
 
鈴木(翔) だから、手作業中心の時代の木は、今の3倍以上の値段で取り引きされていました。材価が下がった原因はさっき言ったように輸入材の普及ですが、日本の側もそれなら海外のいいところを取り入れて効率化しなきゃいけないというんで、機械化の波がやってきたわけなんです。