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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

伝統を守りつつ進化する
武道・格闘技用品

 

イサミでも下積みからスタート

 
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 帰国後はヨドバシカメラで働きました。語学力と内弟子経験を買われて、日本で最も忙しく、外国からのお客様も多い新宿西口店に配属されまして。期待に応えたくてとにかく頑張りましたよ。先輩方からは社会人としての考え方や客商売のイロハなどを丁寧に教えていただきました。当時の諸先輩方には本当にお世話になり、今でも感謝しています。
 
 アメリカで精神を鍛え、日本で社会人としての基礎を磨いたわけですね。そもそも、その店舗に配属されたのも、留学して英語をマスターしていたことが理由の1つですし、全ての経験がつながっているように感じます。無駄な経験ってないんだなあ。
 
 同感です。そうやってヨドバシで数年お世話になり、父が早期引退を考えていたこともあり、イサミに入社しました。最初はゴミ捨て担当からスタートしました。縫製工場なので、残飯ならぬ残布がたくさん出るのです。それを車に積み込んでゴミ処理場に運ぶ役目でした。
 
 そんな末端の役目から?! 驚きだ・・・。でも、お父上の意思を感じますね。
 
 はい。私もゼロから始めるのが当たり前だと思っていましたから、全く苦になりませんでした。それから裁断や縫製などの工程を経験して覚えていき、物をつくるのが好きだということも改めて実感しました。ミシンを踏むのも楽しかったなあ。
 
 普通の家族経営なら修業から帰って来たらすぐ役職につけるじゃないですか。イサミさんはそうじゃないのが偉いと思います。ご自身も下積みから始めるのが当然だと思ってたなんて、ご立派ですよ。
 
 よくしてくださった先輩社員や先輩スタッフのおかげです。皆さんには感謝しかありません。
 
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 そして3代目を継承された今、経営者として心がけておられるのは、どんなことですか?
 
 守るべき伝統の部分と時代に合わせて変えていく部分をしっかり見極めることが大切だと思っています。また、社員全員の意見にしっかりと耳を傾けることも大事にしています。縫製の技術を持っている人が業界全体で減っている中で国内生産を貫くのは並大抵のことではありませんが、そこはこだわっていこうということも、全員で話し合って決めました。
 
 素晴らしい! 人の意見を取り入れることが成功する秘訣だと思います。自分たちで決めたとなると、皆さんのモチベーションも高まりますしね。
 
 ミーティングでも、「私の会社じゃなくてみんなの会社だ」と常に言っています。会社としてもできるだけ従業員に還元していますし、これからも「この会社に来て良かった」とみんなに思ってもらえる会社でありたいですね。