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ノウハウ 小山昇の「再定義からはじめる仕事術」 第9回 はい、人手不足、表敬訪問、不況 小山昇の「再定義からはじめる仕事術」 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ

第9回 はい、人手不足、表敬訪問、不況

 
 
こんにちは。小山昇です。仕事についての考え方を言葉の定義から見直すこの連載は、武蔵野の経営用語集『増補改訂版 仕事ができる人の心得』が教科書です。先日ふと思ったのですが、皆さん、教科書、持ってますよね!? 教科書なしで授業を受けていた人はすぐ買いに行くように(笑)。では、今月は【は行】です。教科書は198ページ。はい、開いてください。
 

―は行―

 
*はい(1)(2)(通番1094、1095)
(1)わかったのではない。耳に声が入っただけです。(2)「はい」は「拝」です。相手を拝む心、自分自身を拝む心です。「はい」と言ったことを行動に移すと、素直で謙虚になります。
 
解説: (2)を解説しましょう。大抵の人は頼みごとをされたらいやがりますね。「え~、だってそれは○※■×▽*じゃないですかぁ~」と反論してくる社員もいる。本来は頼みごとをされたら期待してくれたことに感謝しないと。そうすれば、頼んでくれた相手を拝む気持ちが湧いて返事は自然と「はい(拝)」になります。
 
反対に、あれこれ御託を並べて嫌がると、あなたは自分の可能性をつぶしてしまいます。あなた自身が、自分に期待することを止めてしまっている。自分を拝む気持ちを手放している。もしかすると、「大丈夫かな、自分にできるかな」と不安に思うあまり、相手の期待が信じられないのかもしれませんね。
 
しかし、です。頼む側を代表して言うと、こっちはあなたに任せても大丈夫だから頼んでいるのではない。正直なところ、あなたが不安なのと同じくらいこちらも不安です(笑)。でも、不安と期待はどちらかが大きければ片方がなくなるようなものではありません。不安と同じくらいの大きさで期待できるのです。しているのです。だから「はい!(拝)」と元気よく答えてください。そして動いてください。それが成長の第一歩です。
 
 
 
*人手不足(通番1143)
上司が部下を叱らなくなり、すべてにわたって甘くなる。
 
解説: 今はどの業界も人手不足です。これからもっと人手がなくなるという予測もあります。そんな時代に上司が部下に対して甘くなるのは、例えば5人の部署で1人に辞められたら自分がカバーしないといけないと思うから。責任感の現れです。
 
しかし、甘くするとナメられます。これは人間同士の真理です。したがって、人手不足の本当の弊害は、部下が上司をナメるようになること。手が足らなくなることではありません。
 
私は女性社員でも関係なく、厳しく叱ります。それで泣いたら、「泣いてろ。終わったか、もう少しか。・・・まだまだ泣けるぞ!」と言ってやる。大抵は泣き止みますよ。“この人の前では、これ以上泣いたって仕方ない”と本能的に見抜くんでしょう。いやはや、女性は賢い(笑)。
 
叱る。泣く。それでいいんです。「まだまだ泣けるぞ!」というのは、伸びしろならぬ「泣きしろ」がまだまだあるぞ! という意味にとってください。「お前はこれくらいで泣いてる玉じゃないだろう!」と励ましているんですよ。
 
 
 
*表敬訪問(通番1158)
特別な場合を除き、訪問先のトップとはアポイントをとらない。相手がいなくても、いっこうに差し支えない。留守の時は置き名刺をする。面談したのと同じ効果がある。わざわざ挨拶に来たということだけで相手は満足する。
 
解説: 行って相手がいなければ何にもならない。アポをとってから訪問すべし――これが普通の発想です。しかし、私など、お中元やお歳暮を贈るために得意先を回る日は半日で15件回ります。だから「こんにちは。さようなら」じゃないと無理! 相手先も同じです。ただでさえ社長業は激務なのに、表敬訪問で体を縛られたら大変ですよ。来られる側の都合も考えろということです。
 
そして首尾よく社長が不在だったら――いたら半時間かそこら話さないといけませんからね――置き名刺は訪問した全員の分を置いてくること。社長だけではダメです。「僕はいつも来てますので」なんて言って置かずに帰る営業マンがいますが、それでは来たことにならない。形を残さない表敬は無意味です。
 
「表敬は形を残せ」と指導すると、宅配便で物を送ろうとする社長がいます。バカの典型です。日本の物流業は優秀だから会社にはちゃんと届きますよ。でも、総務の机に積まれて終わり。品物が詰め合わせギフトだったら社員の皆さんで山分けされて終わり。「武蔵野の小山さんから届きましたよ」とわざわざ社長に見せに行くことなんてないから、届かなかったのと同じになる。宅配便では物は贈れても心までは贈れないのです。心を贈るには「行って」「形を残す」。両方が必要です。
 
ちなみに、持って行く物は鉢植えの花がお勧めです。総務の机の上に1万円の鉢植えの花がどーんと咲いていたら、さすがに社長のほうから「これどうした?」と聞いてきます。事務員は「武蔵野の小山社長が内村課長と一緒にいらっしゃって」と答えます。はたして社長室の机には小山と内村の名刺が置いてある。表敬が社長の心に“根付く”こと請け合いです。
 
 
 
*不況(通番1175)
人材の差が出る。地域一番店だけが有利です。大きな会社が小さなマーケットに参入してくる時です。これはあまり怖くない。マーケットを荒して去っていきます。本業を大事にすることです。
 
解説: リーマンショック不況のとき、メガバンクが中小企業にこぞって融資しました。でも、景気が戻るとみんな引き上げていきました。大企業の参入は実はそんなに怖くない。利益が出せない分を一時補填するために下のマーケットに下りてきただけで、コスト的に合わないからいずれ引き上げます。それがわかっていれば、大手の参入に泡を食ってお客様に不義理なことをするほうが本末転倒だと気付くはずです。
 
武蔵野のダスキン事業でもこんなことがありました。5~6年前、当社のマーケットに某大手A社が入ってきたのです。でも結局、「ライバルのB社は叩けたけどダスキンさんは手ごわい」と言い残して去っていった。小さいマーケットは人と人のつながりがあるから、値段だけではお客様は浮気しません。安心して本業を大事になさってください。
 
 
 
 
小山昇の「再定義からはじめる仕事術」
第9回 はい、人手不足、表敬訪問、不況
 
 
 
 

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 オフィシャルホームページ 

   http://koyamanoboru.jp
 
 
(2016.11.9)

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