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ノウハウ 自ら働き、自ずから楽しむ vol.9 社内勉強会での社員育成法 自ら働き、自ずから楽しむ 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ
 
こんにちは、小山です。8月の夏真っ盛り、子供たちは夏休みの宿題そっちのけで遊んでいる頃でしょうか。子供たちは遊んでいても、大人までホイホイ遊びまわるというわけにはいきませんね。夏の暑さに負けず、常に成長しないと上を目指せない。ということで、今回はビジネスパーソンにとっての 「勉強」 に焦点を当ててお話をしましょう。
 
 

嫌々渋々、参加することに意義がある

 
 武蔵野では定期的に勉強会を行っています。社員だけでなく、ときにはパートさんやアルバイトまで集まって熱心に私が話す内容を聞いている。もちろんよほどのことがない限り、まず欠席はしません。なんとも勉強熱心ではないですか!
 と言いたいところですが、実はこれだけ熱心に勉強会に参加するのにはカラクリがあります。話は単純、勉強会に出なければ賞与が4分の1になってしまうから。さすがにそれはみんな嫌ですから、参加せざるを得ません。しかも私が話す際には、会場で舟をこいでいる人に質問をしていくものですから、皆、オチオチ眠ってもいられない。嫌々ながら、渋々ながら、参加しているわけです。
 実はこの 「嫌々ながら」 ということに意味がある。まず人間楽なほうへと行きがちですので、「自発的に勉強することを期待する」 などと言っても、きちんとやる人間なんてほとんどいません。社長である私だって嫌なのですから(笑)。
 とはいえ、勉強会に参加するためには、少しはモチベーションも上げなくてはいけませんから、そこにも工夫はしてあります。昔、ラジオ体操に一回参加したごとにスタンプが押されていたように、勉強会に参加するたびに、参加者一人ひとりが持っているカードにスタンプが押されるわけです。ワンスタンプの価値が500円で、すべて埋めたら5万円の旅行券がもれなくもらえます。紛失してしまったら? 再発行なんかしませんよ。スタンプカードは参加証明書代わり。紛失してしまったら賞与が激減、ひどい場合には20万円近くの減額になってしまうことも・・・。
 
 

社員の辞書に自由という文字はない

 
 このような形で勉強会を開いているのですが、最も大事なのは勉強して頭の中に知識を入れていくことよりも、「勉強をしないという選択肢がない=自由がない」 ということを素肌感覚で理解すること。それが私たちの勉強会の真の狙いなのですね。はっきり言いまして、会社の社員に自由なんかありません。お客様に自由はあっても、社員はおろか社長にだってないのです。まずこれが前提として理解できていないと、武蔵野で会社員は務まりません。
 もうひとつ大事なのは、社員のサービスの均整化をはかることです。当社の勉強会の基本方針は、お客様の満足度を追求するための価値観を共有すること。価値観を共有するというのは、例えるとこういうことです。
 社員旅行で温泉に行ったとしましょう。その際、みんなが浴衣を着ているのに、一人だけトレーナー姿だったとします。それは 「温泉で風情を楽しむ」 という価値観を共有できていないことになる。そもそも、社員旅行に行きたがらない新卒生は不採用ですし、浴衣に至っては、一人だけ着ていなかったりすると即日解雇です。それだけ価値観の共有というものは重要であり、そこにも社員の自由意思は存在してはいけないのです。
 こうしたことはお客様の前に出た時に如実に表れます。お客様には、どの社員がうかがっても同じサービスを提供できるようにならなければいけないわけで、まさしく金太郎飴のように均整のとれた社員能力を身に着けさせるには、徹底して価値観を共有することが重要なのですね。
 
 

教えるだけでなく、育てる場が必要

 
 さて、勉強会で具体的に何を勉強していくか。当社の場合はふたつの科目がありまして、ひとつは経営計画書の解説と理解。もうひとつは、私が阪急コミュニケーションズさんから出版している 『仕事ができる人の心得』 の解説と理解。このふたつだけです。これの中身を繰り返し教え続けていくんですね。
 そう話すと 「もっと多角的にいろんなことを教えたほうが、成長しやすいのではないか?」 と思われるかもしれません。しかし、それは大きな落とし穴なのです。考えてみてください。中学生や高校生が部活動をする際に、1年目はサッカー、2年目は野球、3年目はバスケと、小刻みに競技種目を変えたとしましょう。それでどの競技もうまくなると思いますか? 反対に3年間、一貫して同じ種目をやり続けたほうがうまくなるのは明らかですよね。
 そして、ひととおりの講義が終われば、今度は参加者たちにその内容をプレゼン形式で発表させていきます。これが実に面白い。私が教えてきたことを、自分なりに話そうとするのですが、まるでトンチンカンな内容に変換されてしまったりもする。もう、ホラ吹き大会、大ウソつき大会と言ってもいいくらいで、毎回腹を抱えて笑わせてもらっていますよ(笑)。
 いいんです、ウソでもホラでも。間違っていて全く問題はありません。自分の言葉でプレゼンすることが一番大事なのですから。教わったことを、自分なりに発表するためには、それを咀嚼して自分で理解して、自らの意思で知識を整理しないといけない。「教育」 という字は、教えて育てると書きます。講義で教えたことを、彼らが自分の中で血肉にするための 「育ての場」 を設けることも、大変重要なのです。
 
 

同じことを愚直なまでに繰り返す

 
 会社は人の入れ替えが必ずある組織です。昨年と今年、今年と来年の顔ぶれが同じだとは限りません。その中で価値観を共有し、サービスを均一化させようと思ったら、毎年の勉強会の内容を異なったものにすると、知識や経験、意識のばらつきがどうしても出てきます。だからこそ、毎回、愚直なまでに同じことを繰り返しているのです。
 もしその基本的な教育以上に専門的な知識や経験を身に着けさせなければいけない場合は、その道のプロに任せるべきなのです。範囲を決めて、徹底的に教え込む。耳にタコができるくらいまでに。よく社長の訓示で同じような話ばかりが毎回繰り返されると、「社長、また同じようなこと言ってるよ」 と社員は思うかもしれませんが、実はそう思わせる社長こそ優秀な社長だと私は思いますね。
 
 
 
 
 自ら働き、自ずから楽しむ ~小山昇・独自経営の哲学~
第9回 社内勉強会での社員育成法

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 
 
 
 

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