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スポーツ 上原浩治のTrust Pitch! vol.18 この春先を乗り越えろ 上原浩治のTrust Pitch! ボストン・レッドソックス投手

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column.18 この春先を乗り越えろ

 

とにかく忙しい抑え投手の舞台裏

 
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練習中にファレル監督と
 ぼくが投げるのは、チームが勝っているか、接戦のシチュエーションが多い。昨年のこともあるし、かなり期待されているのは当然なんだけど、プレッシャーや焦りはないですね。常にいいピッチングをしたいとは思っています。でも、打たれたら、それはそれでしゃあないと考えています。いつもこの時期はあまりいい成績を残した記憶がないので、春先を乗り切って夏に入れば大丈夫だという自信はありますね。悪いものだと思って良くなれば楽になるし。大怪我さえしなければなと思ってます。ちなみに球団に入るとき、GMにも「春先は悪いからね」と言って保険をかけてあるのは、ここだけのナイショです(笑)。
 
 基本、ピッチャー交代は審判がコールしてから2分半~3分以内でマウンドに行かないといけないんだけど、これは日本も一緒。だから、先日15年のプロ生活の中で一番急がされた試合があったときも、次の日ファレル監督には「もうちょっと早く言ってくれ(笑)」と伝えました。監督は、毎日練習中にぼくたちのところに来て、きちんとコミュニケーションをとってくれます。オリオールズのショーウォルター監督や、巨人時代の原監督もそうだったかな。その日の状態を自分の目で確かめて、「よし行くぞ」となる。出番が決まってからは慌ただしいですが、それまでの意思疎通はちゃんとできる。
 
 

好きこそもののシンプルなれ

 
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 急に出番がやってくるといえば、たとえば、さっき話したのは先日5月3日の試合。9回表9対0で勝っていたところで、カプアーノが珍しく調子悪くて、首脳陣も計算外の決断を強いられた。全く準備してなかったところに電話がかかってきて「急げ」と。15年経験しても本当にない急かされぶりでしたね。こっちはそりゃ慌てましたよ(笑)。ああいう状況で気持ちを“投げる”に戻すのは非常に難しい。いいピッチングではなかったけど、なんとか抑えられたので一安心でした。準備の大切さ、気持ちを切らせないことの重要さを改めて考えた試合でした。何でも経験しないと生かされませんからね。でも、できればあれはもう経験したくないなあ・・・(笑)。
 
 まあ、準備しても登板のないときはあるし、準備しなくてもあるときはある。投げても投げなくても年間162試合という試合数は変わらないんだから気持ちを入れ直して完全に割り切ってやるだけです。ぼくたちピッチャーに求められているのはきっちり抑えること。それさえできればOKなんですから。もっとも、それが難しいんですけどね。
 
 ぼくは野球が好きだから、野球をやっている。なんでこんなに好きかはわからないんですけど、それが素直にやりがいなんです。好きなことを仕事にしていられる人って、世の中そんなに多くないでしょ。だからあまりグチグチ言いたくはない。好きだからやる。やるべきことをやる。シンプルにやる。準備は地味だけど、結果が出れば嬉しい。達成感はすなわち満足になってしまうから、上を目指すうえで達成感を感じないようにしています。まずは一日一日、目の前のことをやる。野球界だけでなくて、社会でも言えることですよね。コツコツ積み重ねていきましょう!
 
 
 

 

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