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ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.7 原点を噛みしめたアメリカ視察のこと 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

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皆さんこんにちは。佐藤勝人です。「繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート」、今回は、私的時事を今このタイミングで聞かれたらもうこれっきゃない、行ってきたばかりのアメリカ商業視察セミナーのことを話そうと思います。この23年間欠かさず年2回アメリカに視察に行くうちの1回は必ずニューヨークに行くと決めているのは、やっぱり自分の原点がニューヨークにあるからで、今回は息子が途中合流したこともあって特にそれを感じました。
 
 

原点の店 in New York

 
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息子・勇士とニューヨーク。9年前を思いつつ
13泊15日の視察旅行中のフェイスブックの投稿を見ると、日本時間4月22日、渡航した日の夜が明けていよいよ視察本番の日に、マンハッタンからブロンクスにかけて5店舗を回った後で、ヨンカーズのSTEW LEONARD's(スチュー レオナルド)という店に行っています。
 
この店、ズーッと好きなんだよなぁ、私。地域密着のスーパーマーケットで、高速道路から見上げる丘の上に、どどーんと建って。売り場面積は約1200坪。そこに日本の標準だったら1万5000〜3万アイテムを扱うところを3000アイテムに絞り込んで、1つのアイテムをぐわーっと並べて、日本ではもう見なくなったワンウェイコントロール(店内巡回型一方通行動線)の、幅4mはある通路が、週末には先のほうまでお客さんのカートでぎっしり埋まる。そんな店が地元を中心に4店舗あって、1店舗あたりの来店客数は1日1万8000人、年商は驚異の100億円超え。1店舗の年商だよ!? マジすごい、とんでもないスーパーマーケット。そして、このSTEW LEONARD'sこそ、私の地域一番化戦略の原点の店なんです。
 
 

STEW LEONARD'sの2つのルール

 
STEW LEONARD'sには2つのルールがある。ルールその1「お客様はいつも正しい」。ルールその2「お客様が間違っていると感じたらルール1に戻れ」。これだけだ。有名なエピソードがあって、ある年、スチューが脱税の嫌疑で査察を受けた。そのときに、地域のお客さんが「スチューはそんな人じゃない!」「スチューは脱税なんかしない!」ってプラカードを持って、街宣活動をしたんだよ。実際に査察の結果も脱税じゃなかったんだけど、すごいよね。初めてこの話を聞いたとき、“本物の地域密着ってこういうことか”と感動した。
 
もう一つ、お客さんの子どもが試食コーナーで楊枝を口の中に刺しちゃったときの話もある。普通の店なら「たまたまじゃないか」「その子が不運だった」「そんなクレームに付き合ってられるか」となるだろう。対策したとしても、試食コーナーを止めるか、子どもは試食禁止にするぐらいだ。でもスチューは経営陣で話し合って、楊枝をなんと、食べられる、日本でいうところのプリッツに替えた。“なるほど!”と思ったよね。「お客様はいつも正しい」を実践するというのはこういうことかと。
 
現地でこの話を聞いて以来3年は迷ったが、2006年からサトーカメラは自社の「8つの行動指針」の第一に、「お客様はいつも正しい、お客様から学ぶこと」と定めています。すると何が変わったか。クレーマーがいなくなったんだよね。だって、お客さんから学ぶことを実践していれば、いくらお叱りを受けても、それはもはやクレームじゃないからね。
 
 

なぜ「お客様はいつも正しい」のか

 
ただ、そんなの理想論だと思う読者もいるかもしれない。その人には今回の帰国前夜の話をしよう。2週間もの視察を終えての帰国前夜、私はニューヨーク市内の寿司店に入った。結構な高級店だ。カウンターに座るとアメリカ人と中国人が両隣にいて、「delicious!」とか「好吃!」とか言って写真を撮って上機嫌で食べている。何人かわからないけどカウンターの中の寿司職人もご機嫌で、“当たり前だ、俺が握る寿司は最高だ!”みたいなドヤ顔で、私のマグロを握って、出した。
 
でも、まずいのよ。悪いけど。口に入れた瞬間わかる、なんたってマグロが冷蔵庫臭いの(笑)。そのときに思った。客というのは、客のプロなんだね。そりゃ私は、寿司は握れない。でも、食べるほうなら銀座のだってどこのだって、おいしくて最高級の寿司を世界中で食べてきているわけさ。向こうは握るプロのつもりかもしれないけど、こっちだって素人じゃないわけさ。寿司を食うプロなんだよね。
 
私がスチューのルール1を一歩進めて「お客様から学ぶこと」としたのはそういうことだ。「情けは人のためならず」ということわざが、「人に情けをかけるのは巡り巡って自分に返ってくるからで、自分のためだ」という意味なのに、現代は「その人のためにならない(甘やかす)から情けをかけるな」と間違った意味でとられているという話があるでしょう。あれと同じだよ。「お客様はいつも正しい」というのは、単に正しいから正しいと言っているんじゃない。客は客のプロだからだ。プロに学べるから店側も成長できるのであって、客が悪いと思い始めたら成長が止まってしまう。それは自分たちのためにならない。だから「お客様はいつも正しい」なんだ。
 
 

想像もしていなかった今

 
そうやってニューヨークで自分の原点を再発見した中に、息子の勇士とのこともあった。彼は今、中国・インド・東南アジアでサトーカメラの海外事業部の統括をやっている。今回の視察中、たまたまキヤノンUSAとの商談でニューヨークに来ていたから、合流して一緒に何日か回った。“そう言えば前にも2人でニューヨークを回ったなあ”と思って過去のブログをさかのぼったら、2008年の1月にその記事があった。
 
当時、息子は高校3年生だ。年齢的にいっても父親と旅行するのなんてこれが最後だろうと思ったから、そのときの視察に連れてきて、一緒に回ったんだよね。ブログにはそのときのことがちゃんと残っていた。どこの店に行ったとか、何を食べたとか、雑感も含めていろいろ。息子にも「おい見ろよ、あのときもこのステーキ屋に来たんだなあ!」とか、「当時はまさか、今こうなってるとは思わなかったよなあ」というような話をした。
 
まさか――だよ、本当に。そりゃそのときも、「いつかアメリカで仕事ができたらなぁ、店が出せたらいいなあ」なんて冗談では話しはしたけど、まさかそれから9年後に、同じニューヨークで、2人で、キヤノンUSAの副社長と会食をするだなんて、想像もできなかった。本当に、考えもしなかった。
 
何がここまで導いたかなんて自分じゃわからないけど、一つ良かったのは、「お客様はいつも正しい」という観点から、仕事や客を一切選ばなかったことだと思う。依頼を受けた仕事は全部受けてきた。だから、通知表で例えるならば5はなくてもオール4の成績で全教科ができるようになれた。その後も、4が取れる科目を10教科、20教科、30教科と増やしてきた。陸上でいうなら十種競技の選手になろうと決めて努力してきた。それが功を奏したんだと思う。
 
合流して2人で街を回る途中、9年前に一緒に食べたステーキ屋に、2人でまた入ってみた。あのときはおいしいと感じたそのステーキが、もうそれほどとも思わなくなっていた。例えば30年前、22歳の頃の私はただの貧乏な若者で、栃木の田舎で不貞腐れていて、30年後に今のような人間になれるとは、想像もしていなかった。人生って、面白いもんだね。
 
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繫盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.7 原点を噛みしめたアメリカ視察のこと

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)など。最新刊『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2017.5.24)
 

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