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ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.3 2017年初頭現在、日本の時事 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

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三が日も仕事を頑張る三品雅一キャプテン(右端)とそれを見に来たご両親
こんにちは。佐藤勝人です。おかげさまで新シリーズも好評です。この連載は、繁盛請負人・佐藤勝人がその時々に国内外の各地で見聞きした時事を紹介するシリーズ。「時事国々(じじこくこく)」はいろんなことが時々刻々で変わるビジネスの世界にかけたタイトルです。今月は何を話そうかな。年明け一発目だから正月関連の話がいいね。
 
 

「従業員満足」より「従業員育成」だ

 
去年の年末、いよいよ大晦日が迫る頃、世間では「今年は曜日の巡りあわせがイマイチで正月休みが短い」という話がよくされていました。商業者だから関係ないなぁ~と思って聞いていたけど、年が明けて早々、「三越伊勢丹、三が日休業検討 18年から、従業員に配慮」という報道が流れてきた。
 
「はぁ!?」と思いましたね。何考えてんだ、と。各地で見聞きした時事について話すのがこのシリーズの趣旨だけど、これも「日本の時事」だととらえて、今回はこの件についての話から始めます。
 
言っとくけど、サトーカメラは年末年始も当り前に商売してますからね。元旦と2日は朝10時オープン。3日からは朝9時オープンで夜8時閉店の通常営業。元日から店を開けることに疑問を感じたことは一度もない。だって、商業者だもん。商人は演者なんだ。世間が休みで劇場に来る日に、演者が舞台を休んでどうするの。客席側の人たちと同じカレンダーで休んでて、どうするの。
 
私がこの三越伊勢丹の社長をズルいと思うのは、従業員満足を旗印にしたところです。「正月に休ませないのは従業員がかわいそう」だぁ? 「働く人が最高の状況で働くことでお客様に最高のおもてなしができる」だぁ? 商業の本質からブレてきてるのに、キレイゴトでごまかしてんじゃないよ。「従業員を育成できませんでした。小売業に携わる喜びも自覚も、持たせてあげられませんでした」とハッキリ言えよ。お正月初買いを楽しみに来る大勢のお客さんを迎える喜びを経験させてあげないで、それこそお客さんを無視して何が従業員満足のためだよ。現場の人間のことをいつでも替えがきく兵隊としか見ていないから、そんなおためごかしが出てくるんだ。目先の「満足」で釣るばっかりで、従業員の「教育」「育成」はできないのかよ。経営者として情けないよ。
 
私は商業者だから、目の前でお客さんが喜んでくれた時の、あのなんとも言えない、いい気持ちを知っています。お客さんの満足が先ですよ、やっぱり。人間は自分が満足したら他の人のことはどうでもよくなるのが普通なんだ。聖書に「与えなさい、尽くしなさい」と書いてあるのは、人は放っておくとそうしない生き物だからだ。私も、自分ができた人間じゃないとわかっているから、意識的にお客さんを先に喜ばせます。それで感謝されると自分もいい気持ちになる。これでやっと両方が満足できるんです。自分の満足を先にするとどうしても片方で終わっちゃう。それじゃ駄目だということを、サトーカメラは社員とアソシエイトにちゃんと商業者としての教育をします。――だって、彼らの一人ひとりが、親御さんから預かった大事な人間だからね。
 
 

「地域」「地元」に逃げこむな

 
次は「地域」ないし「地元」について。以前も言った通り、このシリーズでは編集部が直近1ヶ月の私の動きをリストにしてくれたものをもとに話しています。それで見ると、年末年始はほぼ栃木から出てなかった。紙を見せられて“地元なんだなぁ、やっぱり”と思いました。
 
変な聞き方だけど、皆さんは地元でビジネスを続けるのって、どうです? お好きですか? 私はもともと好きじゃなかった。早く東京に出ていきたかった(笑)。前のシリーズで話したように北関東は消費者の目が肥えてるし、安売りが根付いているから小売りの現場は厳しい。当時はサトーカメラも「もっと安くしろ、ああしろ、こうしろ」のお客さんが多かったもんね。だから地元が嫌で出る気満々だった。それで事業展開を早めて、いよいよ隣の茨城県に2店出店した時だよ、フィルムがデジタルになったのは。
 
いやもう、勘弁してよ、と思いました。カメラ・写真業界でフィルムがなくなるということは、業界のフォーマットが書き換わるぐらいの意味があります。今まで土でできていた地面が別のものに変わるぐらいの変化です。何をどうしていいかわからない。誰も。経営コンサルタントだ、ランチェスターだの、どんな専門家に聞いても「いや、それは商品のアレだから・・・」みたいな答えしかできない。競合相手も変わってきて、今までカメラ店との戦いだったのが家電量販店との戦いになった。どうやったらあのヤマダやコジマやケーズやヨドバシに勝てるか。自分で必死に考えて、考えて考えて、やっと見つけた突破口が、商圏を絞ってその中で「全ての人にカメラを使ってもらいたい、写真を撮ってもらいたい」という事業構想であり、「想い出をキレイに一生残すために」という大きなビジョンだった。
 
つまり地域一番化戦略も、低単価商品の写真プリントに注力したことも、それが大手に打ち勝つ最強の攻め手だと判断したからそうしたのであって、逃げ腰で小さくまとまることが目的ではなかった。
 
でも今、全国を回っていて感じるのは、「ほどほどのビジネスを、ありのままで、地域密着で」展開するのが理想だと誤解している経営者が意外なほど多いということです。この現象も2017年初頭現在の「日本の時事」と言えるんじゃないかな。
 
地域のお客さんはもちろん大事だ。一人ひとりのお客さんと向き合うことも大切だ。でも、「地域」「地元」といった耳ざわりのいい概念に逃げこんで最初からスモールビジネスを目指すのは、どうなんだろうか。「ありのままでいい」なんて、言ってて自分で気持ち悪くないかい? 地域一番化戦略だって、ただ単に地元で一番になればいいという教えじゃない。地域で成功したらそのまま日本一を狙え、という教えだ。ビジネスは成長発展させてナンボなんだ。だから勉強するんだ。仕事するんだ。必死で考えるんだ。このことを、私たちはもう一度思い出すべきじゃないかな。
 
せっかく年始の一発目だから、今の日本の経営者に共通して感じる傾向について、少し強めに話させてもらいました。受け取り方はいろいろあると思うけど、何か気付くことがあれば幸いです。次回はいつもの調子に戻って、各地の事柄を紹介していくよ。ヨロシク!
 
 
繫盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.3 2017年初頭現在、日本の時事

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)など。最新刊『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2017.01.18)
 
 
 
 

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