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本連載では毎回、社内制度の運用に力を入れている企業をご紹介。第4回目は、「ポテトチップス」に「じゃがりこ」、「かっぱえびせん」などのスナック菓子や「フルグラ」などのシリアルでおなじみのカルビー株式会社さんを訪問しました。人気商品の数々と共に、年々進化と拡大を続ける同社。その発展の秘訣は、どうやら“挑戦”をキーワードにした人材育成の方法にありそうです。今回は、そんなカルビーさん独自の人事制度にスポットを当ててお届けします!
 
 

キャリアチャレンジ制度で自己PRの機会を提供

 
「人は会社の財産であり“財=たから”である」と考えているカルビーさん。2012年度からは、人財を応援するための「キャリアチャレンジ制度」を導入されているそうです。どんな制度で、どんな目的で導入したのか、広報部広報課の笹山さつきさんにうかがいました。
 
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新卒ドラフトでのプレゼンテーションの様子
「当社では、2009年に経営体制を一新し、その3年後には『自立的に成長し成果を出し続ける人・組織』を目指す姿に掲げ、自らのキャリアは自ら築いてほしいという思いのもと本制度を導入しました。実は、それまでは何をするにもどこか、受け身な雰囲気が社内にあったんです。それを払拭し、ステップアップの機会を提供するために始まった制度でもあります。内容としては、まず内定者は入社前に『新卒ドラフト』を受け、これまで行ってきたことやこれからカルビーで取り組んでいきたいことを、各部署の本部長の前で発表。その内容をもとに、本部長らと人事責任者で後日ドラフト会議を開催します。その名の通り、『この子はぜひうちの部署にほしい!』というような話し合いをするんです。配属先を左右するだけに、内定者たちは毎回自分をPRするために工夫を凝らしていて、中には書道で自分を表現したり、Tシャツにキャッチコピーを書いたりする方もいます」。
 
内定者にとっては、入社前に自分を印象づけられる絶好のチャンスなわけですね! 評価する側である、本部長の方々の反応はいかがでしょう?
 
「制度を導入したことで、人財の配属・育成に関してより風通しが良くなったという声が多いです。また、以前は面接時の情報をもとに、特定の部署で配属先を決めていましたが、今は発表内容をふまえて各部署の本部長全員と人事責任者で判断していますから、配属のミスマッチも以前と比べて減ったと思います」。
 
内定者も渾身のプレゼンを公平に評価してもらえるわけですし、入社前に心構えもできて、良いですよね。そして入社後にも、ステップアップの機会があるそうですね。
 
 

学びの場を設け、社員の自立的な成長を促進

 
「次は入社3~5年の間で、必ず1度『新卒チャレンジ』を受けます。ここでも本部長の前で、自分の業務の成果をプレゼン。異動を希望する人は他部署で成し遂げたいことを話し、部署に残りたい人も、同じ部署で今度は何をしたいのかを発表します。入社5年目以降は、『仕事チャレンジ』で同じようにプレゼンをして、異動を希望することも可能です。希望通り異動できないこともありますが、例えばスキル不足が理由の場合は、『このスキルが足りないから、ここを補うといいよ』といったフィードバックも、1人の社員に対して本部長全員がしています。自分の実力を再認識できるので、社員には好評です。それから、昇進を目指すための『役職チャレンジ』という制度もあります。現行の役職より上位職にチャレンジしたいという人であれば、勤続年数何年でも受けられるので、新卒入社4年目で課長職に就いた人も。以前は社歴がある人でないと登用されないことも多かったので、これは大きな変化でした。こうした制度を導入したことで、挑戦できる風土、各部署の上長みんなで人財を育てていこうという風土になりました」。
 
節目ごとにチャレンジ制度があれば、自分の仕事ぶりを見直せますし、キャリアプランをしっかり立てていけますね。そして変わったところでは、「海外武者修行チャレンジ」なる制度もあるとか!
 
「グローバルに活躍し、挑戦できる社員の育成を目的に、毎年プログラムを用意して、社員を海外へ送り出しています。滞在できる国は様々で、期間はおよそ半年~1年。帰国後はチャレンジの成果をプレゼンして、新たに部署の配属先を決めます。やはり海外に行くと大きな刺激があるようで、私の1つ上の先輩はフィリピンで現地のカフェ運営に携わったり、各国でボランティアなどをする教育プログラムに参加したりしたことで、広い視野で物事を考えているように感じました。さらに海外とのやりとりがある商品のマーケティングの部署に求められる形で異動されましたし、社員にとって大きなチャンスとなる制度だと思います」。
 
身近にいた人からそれだけの変化を感じたということは、仕事面だけでなく、人間的にも大きく成長できる制度なんですね。
 
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社員同士学びが多いという松塾でのディスカッション
「当社の代表取締役会長兼CEOの松本晃も、『いろいろなことを学んで魅力のある人間になれば、それが仕事にも還ってくる』と常々言っています。その言葉通り、社員が学べる場として、当社には『松塾』というものもありまして。会長の松本を塾長、相談役の松尾雅彦を名誉塾長とした少人数制の仕事塾で、一般社員が身近で2人の話を聞いたり、2人を交えて様々なテーマについてディスカッションしたりできるのが特長です。普段はなかなかそのような機会がないので、大いに勉強になったと各地の社員たちからも好評です。このように、カルビーではトップの考えやメッセージが社員にしっかりと浸透するよう努めていますし、実際に成果を出しています。それが2009年から増収増益を続けている秘訣だと思いますよ」。
 
トップも含め、会社全体で積極的に成果を出す風土をつくりあげているという、カルビーさん。その成果の1つである『キャリアチャレンジ制度』は、社員が自分を見つめ直したうえで、広く自己PRできる、貴重な機会になっているそうです。特別なコストをかけずにすぐに実行できる制度として、皆さんも社員のPRの場を設けてみてはどうでしょうか。

 
 
▼取材協力
カルビー株式会社
http://www.calbee.co.jp
 
 
                                   (2016.9.9)

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