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コラム BRT47 vol.3 日本人の価値観の正体は? 外食の虎・安田久のBRT 47 飲食プロデューサー

コラム
 
 こんにちは、安田です。
 突然ですが、皆さんは朝型? それとも夜型? つい夜更かしをしてしまう人でも朝型に変えたい人は多いのでは? 健康は早寝早起き、そしてダイエットから。夜型の人は深夜に物を食べたり、食べてすぐに寝てしまったりしがちだけど、それって健康にはどうよ・・・etc。そう、今、健康の話題があちこちで取り上げられ、雑誌もテレビも積極的に健康関連の企画を組んでいます。日本人は確実に健康志向にシフトしている。これが私の確信です。
 
 飲食ビジネスを通じた地域活性化のヒント、今回は健康ブームから探ってみましょう。
 
 

外食経営者が変わってきた?

 
 いま外食産業の経営者も、この健康志向に向かっている人が大勢います。体を動かすためにスポーツに熱中する経営者が増えました。煙草を吸わない経営者も増えた。喫煙しない経営者なんて、一昔前なら考えられなかったですけどね(笑)。
 
 私の友人で、名古屋発の外食産業の雄・zettonの稲本健一社長などは、外食経営者だけでトライアスロンチームを作り、ホノルルで開催される大会に出場するなど、とても意欲的です。他には、「外食駅伝」 と称して、外食関係者だけで本気で駅伝レースをやってみたり。これはいわゆる趣味の話でもありますが、経営者がテーマとして健康に向かっていると、経営方針にもそれが大なり小なり反映されてきます。外食産業経営者だけの話とはいえ、こうした流れからふと思うのは、「日本人は何に価値を求めているのか?」 ということです。
 
 

ブームが産業構造を揺るがせる

 
 そこで最初にお話ししたいのは、「ブームが連れてくるニーズをいかに拾うか」 です。
 外食産業では、今、深夜の時間帯に営業している店舗が壊滅的な打撃を受けています。深夜に外で飲んだり食べたりする人や機会が、激減していますからね。日本人全体が朝型にシフトし、夕食よりも朝食や昼食を充実させたいという需要が出てきた。そこで、外食店で日中に営業しているところは、モーニングやランチのメニューを充実させるほうに力を注ぎ始めています。街をよく観察してみてください。たとえば、大きなボールに野菜を山盛りで入れて 「サラダランチ」 なんて、昔はなかったと思いませんか? そうした新しい発想が、健康志向やダイエットブームに乗って登場しています。これは飲食ビジネス全体にとって大変な転換点なんです。
 
 私はこうした 「外食産業のウェイトシフト」 に関わる仕事をいくつか手がけていて、現在、小田原でパンケーキの店をプロデュースしています。パンケーキは、昔は店側も客側もアイドルタイムのおやつとして見ていたメニューです。それが今、お菓子としての位置づけでなく、しっかりと一食ぶんの食事として食べたいというニーズが出てきた。おやつのうちは余計なカロリーを摂取してしまうだけのメニューに思えますが、いっそ食事にしてしまえば、ごはんやパンや麺類などで栄養が炭水化物に偏ってしまうよりも、むしろ健康に良さそう ―― そんなふうに思われているんでしょうね。
 
 ここで言えるのが、ブームによる業界の動きをよく観察して付いていかないと、新しいビジネスを考える時にも的外れな発想をしてしまうということです。日本人が健康に価値を求めているならば、その欲求を充足させられる商品やサービスを出していかないと。逆を言えば、これから可能性がある商品・サービスには、しかるべく投資してPRする意味があります。これは外食産業においても、地域活性化においても、それ以外のビジネスにおいても、同じことが言えるのではないでしょうか。
 
 

日本人が欲しているもの

 
 もうひとつ、日本人が大きな価値を見出しやすいものがあります。それは 「高級品」。食材でいえば、単純に伊勢エビやアワビ、フカヒレなどでしょうか。これらを目のあたりにすると、日本人はテンションが上がりますよね。希少価値があり、単価が高いものを食べたい。それが日本人(だけではないと思いますが)の大きな欲求の一つです。実にわかりやすい欲求であり、シンプルな価値観です。
 
 以前私がやりたかったもので、今もチャンスがあればやろうとしているものの一つに、「伊勢エビのしゃぶしゃぶ」 があります。昔、長崎のとある島で、一般的な伊勢エビの3倍近い大きさの伊勢エビが獲れるのを見たことがありました。考えてみてください。ただでさえ高級な伊勢エビですよ。それがそんなビッグサイズになれば、どれだけ王様気分になれるか。そのリッチな気分を、普通より少しリーズナブルに味わいたい。これほどストレートど真ん中の欲求充足はないでしょう。
 その伊勢エビは、漁の解禁日や漁獲高の兼ね合い、輸送コストなどの面で、私がイメージする価格設定が難しかったためペンディングせざるを得ませんでしたが、今でもチャンスがあればやってみたいと思ってます。
 
 ちなみに、先日私のプロデュースで六本木にオープンした 「三重人」 という店も、そのスタンスでやっています。桑名の蛤(はまぐり)という、日本の蛤の中でも屈指の美味しさの蛤を金看板にした店です。桑名の蛤のレベルは相当高くて、ぷるぷる感やジューシーさは、ちょっと他では見当たりません。こうしたブランド蛤を、懐石料理で、客単価6000円前後で出す。店は三重県のアンテナショップとして明確に位置づけ、「現地で食べたい」 という次の欲求につなげていく。こういう戦略です。
 
 

本物の素材を世の価値観につなげる

 
 大事なのは、高級感と現実感の落差です。安い食材をどんなに上手にアレンジしても、値は取れません。お客さんは、高級で手が出せないものがちょっと自分たちのほうに近づいてくるところに魅力を感じるんです。1万円のものを1000円にすることは難しいけど、6000円くらいにできれば、元の価値を知っているだけにリーズナブルと感じられるはずです。それで実際に食べてもらえれば、一発で虜になり、リピーターになりますよ。素材は元の価値のままなんだから。
 
 今回挙げた例はどれも、地方活性化関連のビジネス環境によく当てはまると思います。地方には、長崎の伊勢エビや桑名の蛤のような未知の食材、素材がまだまだ眠っています。その眠っているものを、世のブーム、人々の志向、価値観とつなげていくこと。これが重要なんです。
 
 
 
 
 外食の虎・安田久のBRT47 ~Business Revitalization Trend~
vol.3 日本人の価値観の正体は?

 執筆者プロフィール  

安田久 (Hisashi Yasuda)

外食産業プロデューサー・元 『マネーの虎』 レギュラーメンバー

 経 歴  

1962年、秋田県男鹿市生まれ。アルバイト経験をきっかけに飲食業界へ。現場を15年間経験の後、35歳で「監獄レストラン アルカトラズ」をオープン。外食産業関係者を含め大きな支持を得た。2002年には人気テレビ番組『マネーの虎』にレギュラー出演し、知名度が全国区に拡大。その後、2004年に地方活性化郷土料理店第1弾として、秋田県モチーフの店「なまはげ」を銀座に出店。以後「47都道府県47ブランド47地方活性化店舗」を理念に、銀座を中心に郷土料理店を次々と展開。2012年からは飲食店経営者を徹底的に鍛えなおす“虎の穴”「外食虎塾」を主宰している。

 オフィシャルホームページ  

http://www.yasudahisashi.com
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