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◆国や自治体のIT化推進の本丸だった?

 
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内閣府の広報資料より
 今、全国の自治体や企業で、国民の一人ひとりに番号を振り当てる「マイナンバー(社会保障・税番号制度)」の準備作業が急ピッチで進められている。
 
 いわゆる「国民総背番号制」は、今から55年前の1970年に時の佐藤栄作首相が提案したことがあった。しかし、「背番号で国に管理されるのはいやだ」といった感情論で野党や国民に反対され、実現しなかった。
 
 2000年には、日本が「2005年までに世界最先端のIT国家となる」ことを目標とした「e-japan戦略」がスタート。当時の森善朗首相が「IT革命」を「イットカクメイ」とつぶやいて、顰蹙を買ったエピソードがある。2002年からは、住民票に11ケタの住民票コードを割り振り、国や自治体間で住民の基本情報を共有する「住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)」が進められたが、不参加を表明した自治体も多く、国民に利便性を提供できないまま尻切れトンボに終わった。
 
 もっともこの時期は、情報ネットワークやセキュリティなどのIT環境が整っていなかったので、番号制度を実現しようにもできなかったとも言える。最近は自治体クラウドなどのIT化が急激に進み、マイナンバー制度を稼働できる環境が整った。いよいよ満を持しての“背番号制”の導入。政府が意気込むのもわかる。2000年の「e-japan構想」から15年。国や自治体が一気呵成に進めてきたIT化の本当の目的は「マイナンバー制度の実現」にあったとするのは、深読みが過ぎるだろうか。
 
 

◆縦割りを止め、行政サービスを一元化

 
 日本ではこれまで、基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者番号、運転免許証番号、住民票コード、雇用保険被保険者番号など様々な番号が、各行政機関によって個別につけられてきた。1人が一つの番号を持って各行政サービスを受けられる仕組みになっていないのは、先進国としては、実はかなり珍しい。年金や健康保険、税金がバラバラに管理されていたということは、ちょっとした驚きではないだろうか。つまり、「現行制度は縦割りで非効率な部分が多いので、共通番号で全てのサービスを一元管理できるようにしよう」――これがマイナンバーの目的ということになる。以下、トピックを列挙する。
 
・今年10月から番号の「通知カード」が全国の世帯に送られ、2016年1月から行政手続きなどで番号が利用できるようになる。希望者には顔写真つきの「個人番号カード」が無料で配布される。
 
・2017年1月には「マイポータル」という個人用のホームページが開設され、住宅ローン減税や年金保険料免除の手続きが簡単にできるようになる。誰がどんな目的で自分の納税証明を照会したかもチェックできるようになる。
 
・2018年度からは加入する医療保険や受診歴がわかる仕組みをマイナンバー制度に導入、20年度に本格運用を目指す。患者情報を一元化して、重複診療や処方薬の大量・重複投与を防ぐのが狙い。
 
・2020年までには戸籍や旅券にまでマイナンバーの利用を拡大し、新たな成長戦略に反映させる狙い。
 
 また、政府の税制調査会は、個人の資産をより正確に把握し、公正に税や社会保険料を負担させる仕組みを目指すため、制度を預金口座にも連結させる方針で検討を進めている。それだけでなく、金融機関のクレジットカード機能を持たせることも検討されている。
 
 いやはや、これでもかこれでもかのてんこ盛り。カードの利便性を高めることで、マイナンバー制度の普及を促す狙いだという。確かに、役所の書類や国の年金などの業務には効率化のため、統一の番号制も必要かもしれない。しかし、個人の銀行口座にまで適用して国民の財布をのぞき込むのにはそれとはまた別の執念を感じるが、いかがだろう。
 
 
 

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